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レコードをデジタル化する方法|USB録音・必要機材・手順を解説

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木村 拓也 | レコード収集歴15年
レコードをデジタル化する方法|USB録音・必要機材・手順を解説

アナログレコードをデジタルデータ(WAV・MP3・FLACなど)に変換することで、スマートフォンやPCで聴けるようになり、音源のバックアップとしても機能します。ここでは必要な機材と録音手順を解説します。

デジタル化の主な方法

レコードをデジタル化するルートは主に2種類あります。

方法必要機材手軽さ音質
USB出力付きプレーヤー → PCプレーヤー(USB対応)、PC、録音ソフト中〜高
アナログ出力 → オーディオインターフェース → PCプレーヤー、オーディオIF、PC、録音ソフト

初めてデジタル化する方には、USB出力付きプレーヤーを使う方法が最もシンプルです。

方法1:USB出力付きプレーヤーを使う

対応モデルの確認

USB出力を搭載している主なモデルは以下の通りです(メーカー公式サイトの仕様を参照)。

モデルUSB出力フォノイコ価格帯目安
Audio-Technica AT-LP60XUSB内蔵¥15,000〜20,000
Audio-Technica AT-LP120XUSB内蔵(ON/OFF)¥30,000〜40,000
ION Audio Max LP内蔵¥8,000〜12,000

これらのモデルはUSBオーディオクラス(UACクラス1)に対応しており、WindowsおよびmacOSに追加ドライバなしで接続できます。

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録音手順

必要なもの

  • USB出力付きレコードプレーヤー
  • USB-AケーブルまたはUSB-B(プレーヤーに付属していることが多い)
  • PC(Windows/macOS)
  • 録音ソフト

推奨フリーソフト:Audacity

Audacityは無料のオープンソース録音・編集ソフトで、Windows・macOS・Linuxに対応しています。レコードのデジタル化では広く使われています。

録音の基本手順

  1. プレーヤーとPCをUSBケーブルで接続する
  2. AudacityでUSBオーディオデバイスを入力デバイスに選択する
  3. サンプリングレート・ビット深度を設定する(後述)
  4. Audacityで録音を開始 → レコードを再生する
  5. 盤の終わりで録音を停止する
  6. 無音部分をトリミングし、1曲ずつ分割・書き出す

サンプリングレート・ビット深度の目安

設定用途
44,100 Hz / 16-bit(CD品質)一般的なデジタル化・ファイルサイズを小さくしたい場合
48,000 Hz / 24-bit高品質な保存・編集を考える場合
96,000 Hz / 24-bitハイレゾ保存(ファイルサイズ大)

特別な理由がなければ44,100 Hz / 16-bitで十分です。

方法2:オーディオインターフェース経由

仕組み

フォノイコライザーOFF対応のプレーヤー(AT-LP120XUSB等)のLINE出力や、外付けフォノアンプの出力を、オーディオインターフェース(USBオーディオIF)経由でPCに取り込む方法です。

接続の流れ

プレーヤー → フォノアンプ(またはプレーヤー内蔵フォノイコON)
→ オーディオインターフェース(LINE入力)→ PC(USB)

この方法は機材構成が複雑になりますが、オーディオインターフェースのAD変換品質を活かした高品質な録音が可能です。

注意点

オーディオインターフェースの入力にレコードプレーヤーのPHONO出力を直接接続しないでください。PHONOレベルはLINEレベルより大幅に小さく、フォノイコライザーを通さないとまともに録音できません。プレーヤーのフォノイコ内蔵をONにするか、外付けフォノアンプを使うかのどちらかが必要です。

書き出しフォーマットの選び方

フォーマット特徴
WAV非圧縮。音質劣化なし・ファイルサイズ大
FLAC可逆圧縮。音質劣化なし・WAVより小さい
MP3 (320kbps)非可逆圧縮。音質劣化あり・ファイルサイズ小
AIFFmacOS環境での非圧縮フォーマット

長期保存やマスター用途にはWAVまたはFLACが推奨されます。スマートフォンで再生するためのコピー用途にはMP3(320kbps)で十分です。

録音時の音量(ゲイン)調整

録音レベルが高すぎると波形がクリップ(歪み)し、低すぎるとS/N比が悪化します。録音前にテスト再生を行い、Audacityの波形が最大振幅の-6〜-3dBFSに収まるよう入力ゲインを調整してください。

まとめ

レコードのデジタル化は「USB出力付きプレーヤー+Audacity」の組み合わせが最もシンプルです。録音設定はCD品質(44,100 Hz / 16-bit)が標準で、長期保存ならWAVまたはFLACで書き出すことをおすすめします。

USB出力付きプレーヤーのおすすめはUSB出力付きレコードプレーヤーおすすめもあわせてご覧ください。

Audacityの基本的な録音設定

Audacityは無料ながら本格的な録音・編集が可能なソフトウェアです。レコードのデジタル化に必要な主な操作を整理します。

入力デバイスの設定

  1. Audacityを起動し、上部の「デバイスツールバー」で入力デバイスを確認する
  2. USBオーディオデバイス(プレーヤー名またはUSB Audioと表示)を選択する
  3. チャンネル数を「ステレオ(2ch)」に設定する

レベル確認

録音開始前に「録音レベルメーター」でレベルを確認します。最も大きな音が出る部分(盤の冒頭など)で、メーターが-6〜-3dBFS程度に収まるように入力ゲインを調整するのが基本です。0dBFSを超えるとクリップ(音割れ)します。

トラック分割

レコード1面を通しで録音した後、曲間の無音部分で分割する作業が必要です。

  1. 録音データを表示した状態で、分割したい箇所に再生カーソルを移動する
  2. 「編集」→「クリップを分割」(またはCtrl+I)で分割する
  3. 各クリップを選択して「ファイル」→「エクスポート」→「選択範囲をエクスポート」で書き出す

録音時のよくある問題と対処

問題原因対処方法
音が録音されない入力デバイスの選択ミスAudacityで正しいUSBデバイスを選択
片チャンネルしか録音されないモノラル設定になっているステレオ(2ch)に変更
音が割れている入力ゲインが高すぎるゲインを下げてレベルメーターを確認
「ブーン」というノイズが入るアース未接続・グランドループアース線をGND端子に接続
音量が小さいフォノイコを通っていないプレーヤーのフォノイコON設定を確認

著作権について

レコードをデジタル化した音声データは、私的使用の範囲(著作権法第30条)においては自身で楽しむ目的での複製が認められています。ただし、デジタル化した音源をインターネット上にアップロードする・第三者に配布するなどの行為は著作権法に違反する可能性があります。

また、コピーガード(SCMS等)が施されたメディアの回避を伴うデジタル化は規制の対象となる場合があります。詳細は文化庁の著作権情報をご確認ください。

デジタル化後の管理

ファイルの命名規則

一貫した命名規則を決めることで、多数の音源を管理しやすくなります。一般的な例:

アーティスト名 - アルバム名 - トラック番号 - 曲名.wav
例: Artist - Album (1971) - 01 - Song Title.wav

メタデータ(タグ)の設定

WAV・MP3・FLACなどはメタデータ(ID3タグなど)にアーティスト名・アルバム名・ジャンル等を記載できます。Audacityの「ファイル」→「エクスポート」時に「メタデータ編集」ダイアログで設定できます。

バックアップ

デジタル化した音源データは外付けHDD・SSD・クラウドストレージなど複数の場所にバックアップを取ることを推奨します。

よくある質問

Q1. スマートフォンでレコードを録音することはできますか?

A. スマートフォンのマイクでレコードを録音することは技術的に可能ですが、音質は非常に低くなります。USB出力付きプレーヤーをPCと接続する方法と比較して音質が大幅に劣るため、デジタル化目的での使用は推奨されません。

Q2. FLAC形式とWAV形式はどちらが良いですか?

A. 音質は同等(どちらも可逆・WAVは非圧縮、FLACは可逆圧縮)です。FLACはWAVより30〜40%程度ファイルサイズが小さくなる一方、一部の機器・ソフトでの互換性はWAVの方が広い場合があります。長期保存用マスターはWAVまたはFLAC、普段使い用コピーはMP3(320kbps)という使い分けが一般的です。

Q3. 録音した後、ノイズ除去は必要ですか?

A. 盤の状態やクリーニング具合によっては「パチパチ」「チリチリ」というノイズが録音に含まれます。Audacityの「ノイズ除去」機能を使うことでこれらを軽減できますが、過度なノイズ除去は音質自体を損ないます。軽微なノイズは許容するか、最低限の設定で処理することが推奨されます。

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